子どもたちを社会に迎え入れるために、これからの社会を生きるために必要な知識や考え方をまなび自立に備えていくためのプログラムです。学校では教科として学ぶことはないけれど、社会で生きていくために大切な「進路のこと(進学・就職)」や「生活のこと(住まい・お金)」、そして「トラブル事例」や「性教育」に至るまで、幅広いテーマについて、他の子どもや大人たちといっしょにまなびます。子どもたちの価値観を尊重しながら、退所後の進路や生活イメージを大人もいっしょに考え、退所後も継続的に支援を行っていきます。
退所後も支援し続ける理由
施設を退所した子どもたちは、いきなり「完全な大人」になるわけではありません。いろいろ試行錯誤したり、失敗しながら、だんだんと大人として自立していくのだと考えています。
特に18歳で施設を出たあと、25歳くらいまではいろいろあります。進学・就職・転職・恋愛などのさまざまな転機を迎えるこの時期に、同時に、施設を対処し、生活を軌道にのせて、一人の大人として自立した生活を求められるのです。
子どもたちが困りや悩みを抱えたときに、「支えてくれる大人がいる」状態をつくれるように、「はたちクエスト」で子どもたちとの持続的な信頼関係を気づいていきたいと考えています。
はたちクエストの流れ
- チェックイン
まずは、その日の自分の状態を伝えるところから始めます。客観的に自分を見つめて、状態を数値化することで、メタ認知力を育みます。 - まなびタイム
子どもといっしょに何に取り組むかを考えて進める学びの時間です。子ども自身が「やりたい」という気持ちを大切に、無理に何かをやらせるのではなく、「何をやろうか」と相談して、合意をしながら一緒に学んでいきます。教科書の音読・漢字の練習・計算問題・文章題をいっしょに考えるなどの「学校でのまなび」だけではなく、想いや出来事を相手に伝えるための対話や、語彙力や思考力を高めるためのまなびゲームなど、子どもの状況に合わせてさまざまな形で、子どもと大人が共に学ぶ時間です。 - チェックアウト
その日の活動を振り返り、次回までにやりたいこと・楽しみなことなどを宣言しあう時間です。次回までの見通しを持ち、先のことを考える機会を提供します。
はたちクエストのキーワード
- 子どもの価値観・意志を尊重する
対話やワークを通してこれからの未来のことを考える中で、子どもたちの価値観や大切にしたいことを発見しながら、子ども自身の意志を尊重しながら伴走していきます。
- 大人も「いっしょに」まなぶ
現在の社会制度や生活は、私達大人が新成人になった頃と大きく変容しています。子どもと接する大人自身も、”今”の社会のあり方を見つめ直しながら、対等に話せる「クエストフレンド」として、まなびを深めていきます。それぞれが学んだことは「●●の人生攻略本」としてまとめ、本人が困ったときに参照できるようにし、退所後のアフターケアにも活用していきます。
- ゴールは「退所後の自立」ではなく、「退所後も続く関係構築」
「退所後に注意すべきことやるべきことを事細かくタスク化し、社会に送り出す」プログラムではなく、「退所後の生活イメージをいっしょに可視化し、社会に迎え入れる」プログラムだと考えています。ゆっくりと子ども自身を尊重し、対話を重ねることで、退所後も続く、1人の大人同士の信頼関係を築いていきます。